出品作品 No.28~54
作品について私は40年以上前、池袋の西武デパートの展示で初めて創作人形を見る機会がありました。竹取物語(目白の人形教室)の“丈とよっぐ先生”の作品でした。綺麗だけど何を見つめているのだろう?・・・その不思議な面差しに惹かれました。 その後、竹取物語で小林三千子先生に師事しました。石塑粘土、ラドールを発泡スチロールで芯にすることは今と同じでした。また、「ドールスベースビグマリオン」の吉田良先生が考案された“糸引き”という技法もありました。 シーチングの布を型紙通りに切り、縫い合わせて、その中に木毛をギチギチに詰め込み、長い針を強い糸で引いて形造ります。竹取物語の教室には、吉田先生制作の糸引き人形(全身)が展示されていました。 そのリアルな表現はもとより、孤高の姿(エロティックでもある)に感銘を受けましたが、私はほかの人よりはるかに不器用なので、当時は吉田先生に教えを仰ぐ勇気は持てませんでした。 その後は人形創りを何度か断念した時期がありましたが、現在はドールスペースピグマリオンで吉田良先生、陽月先生に師事して球体関節人形の制作に励んでいます。 素材は石塑粘士、ゴム・モデリングベースト義眼、人毛です。衣装の着物は「ギャラリー鳥澄」の中野けい子さんに制作していただきました。 やはり顔にはいちばん力を注ぎます。今回は、レオナルド・ダヴィンチが描いた女性の顔を参考にしました。美しくて神秘的なダヴィンチの絵画を眺めるたび、古代~中世、そして、その時代に生きた女性たちに想いを馳せています。 現代と異なり、男性は狩りや戦、様々な力仕事など、女性はやはり家に籠りきりで子育てや家事に追われる生活だったのではないでしょうか。 私は、家族を思いやる少女の繊細で優しい気持ちは現代も不変の良きものだと考えます。そのような “時を超えた不変の顔” をいつか創ることができれば、と常々思っています。
(座った状態):幅30cm、奥行き46cm、高さ42cm
石塑粘土ラドール、人毛、義眼
No.28 祐香 ゆうか
『無題』

本作品は享保3年(1803年)常陸国の海岸に漂着したといわれる「うつろ舟」(資料添付)の伝承を基に制作しました。「うつろ舟」はお椀の様な形状で金属やガラスの様な素材でできており、その中には赤毛の不思議な女が乗っていたといわれています。民俗学者柳田国男や折口信夫は「うつろ舟」は神の乗り物ではないかと指摘していますがそれらの連想から乗っていたのは神代に国生みの神イザナミノミコトが初めて産んだ神ヒルコ(資料添付)ではなかったか?と想像しました。ヒルコは手足が無かった為に葦舟に乗せられ海に流されたと古事記に書かれている不遇な神ですが後に道教の影響と結びつき恵比寿(蛭子)となり海のかなたより福をもたらす神となったと言われています。 作品は「うつろ舟」に乗って現代に現れたヒルコを表現しています。 服は軽量粘土で制作し素材の柔軟性を活かしてボディにフィットさせています。服の形状はヒルコが漂泊した海のモチーフ、髪型は古事記が成立した時代の下げみづら、頭の後ろには銀色の「うつろ舟」を現しています。背面には荒れる海に自らの子を流すイザナミの姿を現しました。イザナミ、ヒルコ共に同じ素材(テラコッタ)を使い、作り方を変えて作ることで、埴輪をはじめとした古代から続く日本の人形の歴史と球体関節人形に代表される現代の創作人形に至る連続性を表現しています。 タイトル「Floating Craft」はその様な連続性が「うつろ舟」のごとく漂い続けた工芸としての人形の不安定な社会的な立場を現しています。この様な「うつろ舟」の伝説とヒルコの伝説との連想が人形が辿った歴史と結びつき、この作品のコンセプトを形成しています。 作品に込めたメッセージとしては不遇の神であったヒルコ(人形)が荒海を漂った果てにたどり着いた今、この場所で、その萎えた足で立ち上がり漂い続けた旅の終わりを宣言する。 そんなシーンを作ることでこれからの創作人形の未来を祝福したいという思いを込めて制作してみました。
本体サイズ 90cmx36cmx23cm スタンドサイズ47cmx47
テラコッタ 彩色他部分 軽量粘土、石粉粘土
No.29 月光社 げっこうしゃ
『Floating Craft』

人形作りを始めてからの数年間は幼児や青年などの若々しい姿を対象としていました。 2024年に公開されたイギリス映画『二度目のはなればなれ』を観て触発され、初めて老人の姿を作りたくなりました。 人形のボディは布と木毛ですが、頭は張子です。その石膏とりに向けて粘土で顔を作ることから始めます。 若者と違い、老夫婦が寄り添い暮らした年月は顔に皺を刻んだけれど、老いた姿を作る楽しさを知りました。 二人が重ねた時を感じていただけたら嬉しいです。
24×16×50
頭:和紙張子 ボディ:布と木毛
No.30 山上恵子 やまかみけいこ
『追憶』

手造り布人形 みの里は、 『身近に置いて、眺めて、心温まる布人形』をコンセプトに広島県福山市の伝統工芸品である“備後絣”を人形の着物などに取り入れ創作した“ほっこり”と和みある布人形です。 昔懐かしいお爺さん、お婆さんの日常の暮らしをモチーフにした作品を中心に 日本の四季に合わせた雛人形や五月人形、サンタクロースや干支人形などにも備後絣をアレンジし数多くの作品を創作しています。 『笑門来福 ケセラセラ』は、これまで創作してきた作品とは志向を変え、表情も風貌も一味違うダイナミックで表情豊かに創り上げた作品です。 創作にあたっては、型紙の制作・試作・各パーツとのバランスなど調整を何度も繰り返した試行錯誤の末の大作です。 作品の特徴の一つである一枚布で創られたハゲ頭は、思わず触りたくなる“ツルっ”とした 丸みのあるハゲ頭に仕上がっています。 ボディは布の繋ぎ目が無い前面一枚布にこだわり何度も型紙を調整し、ふくよかな“ぽっこり”としたお腹に仕上げました。 着物には素朴な風合いの備後絣を、そして裏地には華やかな色彩の着物の古布を使用し、 作品に明るさと楽しさ、そして豊かさをプラスしました。 この作品を観る人が思わず笑顔になり、そして“ほっこり”とした優しい気持ちになる様な ひと時を過ごしていただきたいと想います。 笑門来福 ケセラセラ。 ~ 備後絣とは ~ 日本三大絣の一つで、江戸時代末期から その染め方を守り受け継がれている歴史ある織物ですが、現在は織元が減少しとても貴重な織物となっています。 私たちは少しでも多くの人に この備後絣を知って頂きたいという想いで 布人形の柔らかく 優しい質感に素朴な風合いと温かみのある備後絣を組み合わせ、穏やかで心に残る作品を 創り上げています。
50cm x 50cm x42cm
布・備後絣
No.31 手造り布人形 みの里 てづくりぬのにんぎょう みのり
『笑門来福 ケセラセラ』

四谷シモン氏とハンス・ベルメール作品に大きな影響と感銘を受けて人形制作をしています。今回の作品のタイトル「猫胸の奔放な女」は四谷シモン氏の「慎み深さのない女」の人形に感銘を受けて制作をしました。 私は過去にある雑誌で四谷シモン氏とハンス・ベルメールを同時に知り、球体関節人形の世界に大きく魅了され様々な制作に迷いがある私にこれから何を作っていけばいいのかとゆう大きな指針となりました。 素材である桐粉は私との相性が良く、デッサン力の乏しい私にとって盛って削っての繰り返しに大きな貢献をしてくれる大事な材料の一つです。 造形にあたっては様々な工夫で苦労をしました。どうしても独学ながら美術解剖学の勉強をしたものにとって、人間の形はこうであれ、との呪縛が私の造形の邪魔になりました。エスキースで描いたデザインでは大きな胸の球体関節はあったものの腰の角度は今の骨折するくらいの曲がった角度ではありませんでした。少しずつ腰の角度が曲り遂にはあり得ない角度になったのです。私の中でこの角度になった事により頭の中での自由が解放されて全ては「流れ」だと感じるようになり、私の中でこれでいいとゆうことになりました。これにより手や指の美しさも自由な発想となり細部に至るまでありえない関節の形になっていったのです。そして「猫胸の奔放な女」の人形造形が出来上がっていきました。 以上がこの作品が生まれた経緯であります。 あと私が作品を現在も作り続ける経緯としてこんな夢を本当に見たのでそれを書かせて頂きます。 私はある夜こんな夢を見たのです。 それはもう年老いて残りの生命が僅かであろう両性具有のライオンが私に語りかけてきたのです。作品を生み出す私に、お前はこれから作品を数多く生み出すが、「人の評価がどうであれ、26番目に生み出す作品が一番良いとのちに気がつくだろう」と年老いた両性具有のライオンは私に言うのです。作品は全てにおいて私自身の子であり自分を写す鏡でもあり、私の分身でもある。私はこれからも作品を生み出し続ける。
幅40cm ・奥行き50cm ・高さ60cm
桐粉 指輪 アクセサリー アクリル絵の具 金箔 銀箔
No.32 ナオツカヨシユキ
『猫胸の奔放な女』

記憶や夢のようなものは、日々の生活の中で、時折浮かび上がってはとけていく。 意識と無意識。そこには懐かしさだけではなく、不安や葛藤、秘密など自分の原形のようなものが含まれている。 時の流れの中で、意識の海に沈んでいった原形のかけらたち。 それらを陶で形にし、釉薬で覆っていく。 釉薬は、顔などがあからさまにはっきり見えないようにするために用いているだけでなく、中に閉じ込め、現実と現実とは異なる向こう側との間を仕切るベールの役目も果たしている。
14・10・24(専用スタンドで立った高さ)
スタンド無しの高さ20㎝
陶 釉薬
No.33 古屋 真帆 ふるやまほ
『Float』

固定ポーズの組み作品です。 昭和の終わり頃の少し古い時代の女子高校生をイメージして制作しました。 少しぽっちゃりめの少女が、憧れている先輩に何か内緒話をしているような瞬間を表現したいと思いました。 少女達が着ているセーラー服は、自分が卒業した女子高校の制服をベースにしており、スカーフではなく黒いリボンを結んでいるのが特徴です。 本来のセーラー服は、ウールと化繊の混ざった生地ですが、人形に着せるには厚くなってしまうため、綿100%の生地を使用しています。 固定ポーズのため、伸縮性のない綿生地を着せるのに苦労しました。 また、シワになりやすく扱いが大変でしたが、そのシワが逆に着古した制服のような仕上がりになり、全体的に古ぼけた雰囲気が出たので良かったかなと感じています。
20×10×37
石塑粘土、木の粘土、布、すが糸、革
No.34 ゆき
『昔のJK~先輩とわたし~』

30センチの抱き人形です。 昔人形を作り始めた頃は粘土でやや大きい球体関節人形を作っていましたが、粘土原型からビスクにした事でサイズがひとまわり小さくなり扱いやすいと感じた事と、あと抱き人形の、鑑賞用よりもぐっと近い距離感が好もしいと思い、もともとミニチュアなど小さい物が好きな事もあって最近は抱き人形ばかり作っています。 抱き人形、とくに和人形にしたときに私は市松人形を意識するのですが、昔の市松をそのまま真似するのは専門的な材料も技術も持っていないので、あくまで創作人形で覚えた技術で、現代だからこそできる市松人形のような「触って遊んで鑑賞できる存在」を作りたいです。 作る時に大事にするのは「媚のない可愛さ」です。特に顔はわざとらしい感じにならないよう、表情は見る側が感じてもらいたいので喜怒哀楽はあまり出さずに作ります。でも人形の存在意義は「可愛い」事にあると思うのでいつも悩みます。 影響はこれ、とはいえませんが少女漫画やアニメやイラストなどが好きなので無意識に受けていると思います。大正ロマンの展覧会などの図録などもイメージソースにします。 今回の作品ははやや重たい瞼のメイクに合わせて少し現代的な着物の柄に巻き髪、フリルのついたエプロンを合わせています。髪はモヘアでツヤはないですが繊細な毛質でふわふわしてこの人形のイメージにはピッタリと思います。 帯の色から作品名(人形名)を珊瑚にしました。
幅15センチ 奥行き10センチ 高さ30センチ
ビスク(顔 手足)・綿(ボディ)
No.35 maiko
『珊瑚(さんご)』

祈りには、言葉にしない静かな時間があります。この《守護天使》は、その時間を乱さず、そっとそばで祈りを見守る存在として制作しました。 私の創作活動の根源には、こうした「祈り」という普遍的なテーマがあります。 本体はビスクドールです。高温で焼き締めた表面は強い光沢がなく、光をやわらかく受け止めます。ビスクという素材がもつ、時間がたっても色が変わらず、ガラスを含んだ絵の具が自然になじむ点も、本作の意図と重なります。 また、本体の身長は82cmです。これは、近づけば吐息や体温を想像でき、少し離れると、像として機能します。人と像のあいだに生まれる緊張と安らぎの均衡を意識し、祈りはきっとこの「あいだ」に宿るのではないかと考え、このサイズを選びました。 背には小さな教会の窓を思わせるステンドグラスの翼があります。派手さをねらわず、「ここで祈っていい」という静かな合図を意図しました。また、翼は、光の道しるべとして、静かに方向を示す役目もあります。 作品に使用する色は白・青・金を基調としました。白は受け入れる余白、青は祈りへ向かう道、金は場を整える縁取りを表します。目に見えない想いを受け止めるため、装飾をおさえた穏やかな姿を選び、派手さより持続を選びました。また、形と間、そして静けさがまっすぐ伝わる構成を選びました。金色の瞳は“光の器”としてのまなざしを示し、素足で腰かける姿は、戦うのではなく寄り添って見守る在り方を伝えます。性別や年齢の記号は意図的に弱め、誰の祈りも遮らない中立性を大切にしました。 展示台は「天国への階段」に腰かける姿をイメージしました。腰かけた姿勢は安らぎと落ち着きを表し、祈りを見守る際の静けさを体現しています。素足としたのは、戦いの象徴ではなく、ただ寄り添うための天使であることを示すためです。 《守護天使》の前では、祈りの結果は問われません。ただ祈ったという事実だけが、背のステンドグラスを通る光に受け止められ、やがて淡く気配を添えます。私自身、制作の途上で幾度となくこの作品に励まされました。 この作品は、目立つ言葉より、静かな佇まいで気持ちに寄り添います。私は、この《守護天使》が、皆さまの心にそっと寄り添い、長い時間をともにしてくれる存在であって欲しいと願います。
本体25×15×82cm
オールビスク ビスクアイ モヘア 皮革 ステンドグラス (衣装制作:Atelier May デザイン:九重十日 ステンドグラス翼・展示台製作:Tsutomu デザイン:九重十日)
No.36 九重 十日 ここのえ とおか
『守護天使』

No.37 一宮圭 いちのみやけい
『安倍童子(あべのどうじ)』
陰陽師安倍晴明の少年期を表現。生まれながら人ならざるオーラや孤高感を出したく 顔の造形もですがメイクなどで悩みました。未解明で不気味さを感じながらも魅力的な眼差しを出す為に能面と同じ様に目頭と目尻の目玉の周りを黒で塗りました。
80cm
石粉粘土

No.38 瑞恵 みずえ
『昔、我が家に居た子』
2000年頃より、球体関節人形を作って居ましたが最近、縫いぐるみ作りも始めました。 粘土と布を合わせてみたら?と思い、今回は土台として球体関節人形を先ず作り、その上に布を貼ってみました。 思いの外、布を貼る作業が非常に難しかったですが、面白いので今後も試行錯 誤を続けて行きたいです。
幅15cm奥行き15cm高さ35cm(座位)台20cm
石粉粘土、伸縮ベロア生地、ムートン毛皮

No.39 小野 裕久枝 おのゆきえ
『烏天狗』
手を動かす事が何よりも好き。心の中で沸々とした何かと、ふとした瞬間に流れ込んでくるイメージが合致した時、私のものづくり意欲が動き出します。 この作品には6年間大切に集めてきた愛するオカメインコの羽根を惜しみなく使用しました。特に翼は尾羽根を全て使用して尚も足りず、重厚感.力強さがありながらも軽く仕上げる事に試行錯誤しました。 楽しみが止まらない人形作りは始まったばかり。 この先どんな児との出会いが待っているのか期待で一杯です。
48✖️42✖️55㎝
石塑粘土 グラスアイ 縮緬 羽根(処理済)

No.40 小武内 こぶない
『甘やかなにおい』
たましいが桃色になって熟するとき ・コンセプト 私はイノセントなものに存在する聖性、不可侵さ。それを失う境界にいる存在に強く惹かれます。 人体では大人でも子供でもないマージナルな存在が好きです。アンビバレントな感情の中にエロティシズムがあると思っています。人間であれば徐々に成長していきますが、羽化を経て急激に大人になる生物もいます。蝉に代表するように、脱皮したてのあの柔らかくて白んだ美味しそうな見た目は、とても無防備で、神秘的で美しいものです。また、これから生物としての役割を果たし、無垢が失われる儚さを秘めています。子供の頃に、兄が捕まえた虫が羽化するのを、じっと見ていた記憶は残酷なまでに美化され、私の心をくすぐり続けるのです。 この作品では、球体関節人形が人間として羽化していく様を表現しました。私たちが作る人形は人の意思をのせ、曖昧な境界をゆらゆらと渡りながら生まれるとても魅惑的な存在です。その概念は、どこにもとどまらない面白さがあり、常に問われ続けてきました。羽化や成長する時のホルモンの働きは生き物にしか成し得ないものです。人形から羽化し、生まれたこの子は、はたして人形なのでしょうか。 あどけなさを残しつつも少女から大人になる瞬間、儚くも美味しそうにもみえるこの肉体は私の習作でもあります。 脱皮は象徴性が高いものですが、それに対して球体関節人形の空洞性と人形の境界という強い意味を結びつけ、私のフェティシズムで再現してみました。 ・制作 脱皮した殻は一度、球体関節人形を造形してから型を取り、脆さを意識して薄くまばらにオーガンジーを固めました。殻っぽさを出すために耳や爪の無い、やや硬めの形状にしています。瞳はまだ太陽に慣れていない淡い色にしつつも、レジンを重ね、中に影が入った時に表情の違いが出るように工夫しました。体の表面はピンクが滲むように半透明な色を重ねてマットな塗装をし、脱皮したての太腿からお腹の部分は、濡れてみずみずしい感じを表現しています。髪の色は肌に馴染むように馬の毛を薄くピンク色に染め、まつ毛や眉毛はエクステを接着しました。肉体は石膏粘土で、可愛らしさを残しつつも大人に向けて成長した体つきを目指し、柔らかそうな、私の理想の肉体を追求しました。 私が作品全体として常に意識していることは詩的な空間を作りたいということです。 幼少期や青年期の記憶や感覚を掘り起こすことが多いですが、詩や、光や生命を描写した写真集からも影響を受けます。光や匂いなどを含めた空間性や五感への刺激を観る人に感じてもらえたら嬉しいです。
サイズ(85・42・54 )cm 什器サイズ(φ40・1.5)cm
石膏粘土、馬毛、アクリル絵具、レジン、布、ビーズ、テグス

No.41 染谷永子 そめたにえいこ
『少女』
昔の子供達の着物にエプロン姿が好きで、今回作ってみました。ボンネットを被せたら、ちょっとおしゃれさんになりました。
幅14 奥行10高さ37 什器幅15奥行11高さ9
石塑粘土 木の粉 胡粉

No.42 柴﨑弘子 しばさきひろこ
『雪のなごり、春の詩』
さまざまな雪が降り積り、やがて溶けゆく中、なごり 雪が静かに残る。 時の流れとともに、次の季節がそっと広がり始め、春を奏でる詩が聞こえてくる
W 27cm D 25cm H53cm (組作品)
粘土、布、ビ―ズ (猫のバイオリン既製品)

No.43 水無 旭 みずなしあさひ
『7Gems No.2 月長石』
鉱物をモチーフとした7体のシリーズ(予定)の内の2番目。ムーンストーン(月長石)のパワーストーンとしての効果(予知能力、旅の安全)と、白のイメージである純粋、神聖などから、衣装は巫女服をモチーフにしました。 ローゼンメイデンシリーズ(PEACH-PIT著)、ALI PROJECT、恋月姫の写真集を見たり聞いたりした内にいつか自分も人形を作ってみたいと思うようになり、趣味で絵も描いていたのでポージングの参考にもなると考え作り始めました。 まだ作った回数が少ないので、人体の基本形を学ぶという意味もあって作りはシンプルにしました。
22・14・77.5 cm
石塑粘土、石粉粘土、軽量粘土、グラスアイ、
ドールウィッグ、鉱物(月長石)、ゴムひも、ステンレス針金

No.44 智恵 ちえ
『青い小鳥』
お気に入りのドレスを着ているのに、少女の面持ちはなぜかくぐもっています。 それは彼女のかわいがっていた小鳥が青い羽根を残して窓から飛び立っていってしまったから…。 空を自由に羽ばたいているのかしら、それとも迷子になって寂しい思いをしているのかしら…。 少女の眼差しは青い小鳥を捜して、空のかなたをさまよいます。 師匠の「人形は可愛くなくてはダメよ」の言葉を胸に、 リアルすぎて人形らしさが無くなってしまわない様にと、やわらかい表現を心にとめて造っています。 特に市松人形を学んでからは、球体関節人形も胡粉、塗り上げ仕上げにこだわっていて、胡粉の溶き方や塗り方を自分なりに考えて、伝統技法を使いながらも、素焼きのビスクドールのような肌感が出せないものかと試行錯誤をしながら工夫しています。 ドレスはアンティークの布地やレースが好きなので、これらを綴(は)いで作りましたが、古い布地はすぐに破れてしまったりと脆(もろ)くて縫いにくいので、新しい糸が使えない部分には布地をほどいた繊維を糸にして縫ったりしたので、人形本体を作るより時間がかかってしまったかもしれません。 "マリーローランサン”や"ドガ”の絵に描かれた黒目がちの少女が好きで、人形もどうしても黒目がちの顔になってしまうのですが、今回の作品は少女の思いにも表せる様にと白目を入れてみました。 人形に思想を込めたり、高声に主義主張するのは苦手ですが、穴のあいたレースを繕いながら、この少女の青い小鳥が帰ってきますように、世界が穏やかでありますようにとの思いで手を動かしました。
w16cm d16cm h75cm
紙塑、石塑、胡粉、グラスアイ、自作のモヘアかつら、
アンティーク布地とレース

No.45 多寿姫 たずひめ
『記憶オバケ』
目まぐるしく上書きされる記憶の仕組みは、まるでオバケのようだ。 張り巡らされた感情と記憶の卵も、孵化する瞬間を今か今かと待ちわびているのかもしれない。
w24.5 d 5.0 h41.0 cm
正絹、石塑粘土、ビス、糸、木製パネルM6号

No.46 中川ちえみ なかがわちえみ
『ゼンマイさん』
春の野にひっそりと佇むゼンマイの化身です。 物静かな眼差しで控えめに春の訪れを喜んでいます。 素焼きした陶土に灰釉をかけて本焼きしたあと ビスクドール用のチャイナペイントで絵付けしました。 技法も造形も独自のオリジナル作品です。
幅18cm 奥行き13.5 cm 高さ34cm
陶土

No.47 岩貞亜季 いわさだあき
『叢雲(むらくも)』
【叢雲(むらくも)】 江戸縮緬の着物を纏う武士の少年です。 雲模様の神秘的な美しさから「叢雲」と名付けました。武士の少年らしい凛とした佇まいの中に、日本らしい静けさと品格が宿るよう意識して制作しました。 きっかけは球体関節人形を学ぶうちに、日本の伝統的な技法、衣装、髪型を取り入れた作品をいつか作りたいと思い始めたことです。 「叢雲」は、人形本体は細かい造作がしやすい石塑粘土を使っていますが、表面は伝統的な胡粉を塗って仕上げました。 また、ボディは『三つ折れ人形』の技法を用いて、脚の付け根・膝・足首の三か所を折り曲げて正座ができるようになっています。 日本の生活様式から生まれた三つ折れ人形は本来は子供が着せ替えたり、抱いたりして遊びました。 この「叢雲」も鑑賞用だけでなく、動かしたり正座をさせることにより、伝統と温もりを同時に感じていただけたら幸いです。 ――かつて多くの人に親しまれたそんな日本の人形の魅力を現代の創作として、少しでも今に伝えられたらと思います。
幅15cm、奥行き12cm、高さ29cm
石塑粘土、胡粉

No.48 くらげうみ。 くらげうみまる
『四天使 ウリエル』
この猫のシリーズは「海月のベスティ」といい、寂しいときも、嬉しいときも、そっとあなたに寄り添う「心友」をコンセプトに制作しました。 ベストフレンドのスラングからベスティと名付けた身長約13cmの掌サイズの子達です。 モチーフは、私にとってかけがえのない今は亡き“愛猫”。 静かな時間をともに過ごしたその命のぬくもりが、ベスティたちの中に生きています。 小さなその手のひらにおさまりながら、 あなたと一緒に、どこへでも。 心の奥にふれるような、やさしい出会いをお届けできますように。 制作のきっかけは3Dデータやプリンタが使えるこの子の原型師に出会ったことです。粘土の球体関節人形やドールメイクを主にしていた私に新たな風を吹かせてくれました。小さい頃から何かを作る人になりたくて、それを小学生の時に笑われたのをずっと忘れられずにいます。悔しくて、切なくて、いつかを夢見て……。 そんな気持ちがずっと燻っていた矢先の出会いだったので、お願いして私のイラスト案から3Dデータを起こしてもらいました。 2人でする作業は何度も確認が必要で、私の思い描くベスティを説明すること、それを伝えることは容易くありませんでした。1度目の原型ができた時に、粘土を触っていたのを思い出し、原型に粘土張りをして細かな修正を……これを繰り返して今のベスティの可愛さが生まれました。こうしたらもっと可愛い!を原型師のほうから提案してもらったり、二人三脚で作り上げるのは大変緻密な、そして一人ではできない達成感がありました。 工夫したのは尻尾で立つこと、それからあちらこちらにある♡。「愛を届ける」猫だから、いろんなところにハートマークがあります。太ももの切れ目も実は上から見るとハートマーク。蓋の噛み合わせもハートです。また、私の中の可愛いは、猫×ぬいぐるみ×幼児。これは外せなかったのでむっちりとした可愛らしいフォルムに仕上げてもらいました。 この子達は創作人形の一面と、着せ替えの出来るドールの中間にいます。専用サイズのお洋服も今回のあのめ洋裁店さん以外にも出してくださっていますので、交換して遊んだり連れて歩いたりも出来ます。 沢山の思い出を共有出来る「心友」であればと思いこのような作りにしました。 猫の他にも今は兎が仲間入りしています。どちらも私の大切な家族でした。そしてお顔の種類も増やしています。 ただのドールではなく、家族として、1人と1匹がちょっと幸せ、であれたら私はこの上なく幸せです! 原型師 ヨコシマ 洋服 あのめ洋裁店
8・13・13
3Dプリント

No.49 kyou.sakaguchi きょうどっとさかぐち
『Cameron-0』
近年、高機能な電子パーツが手に入りやすくなり、それらを使ってヒトガタの眼の動きを実現しようと思いました。 ・カメラを内蔵したモーションセンサーで人を識別可能です(約0.5-4mまでの範囲) ・眼球には複数のサーボモータを使用し、これで両眼の動き(左右/上下、寄り眼、反り目)を 実現しています ・モーションセンサーが認知した人の位置を教えてくれるので、その方向を向くようにサーボモータを動かします ・モーションセンサーの機能としてハンドジェスチャー(Vサイン、OKサイン、など)を識別できるので、 これを使って本体に指示を送ることができます。眼の動きのデモンストレーション、人の追尾の開始終了、 プログ ラムの終了など 自立したヒトガタをめざしているので、外部のPC、サーバ、電源とはつながっていません 外観上、 ・胸にモーションセンサーがあります。人の認知/ハンドジェスチャーでLEDが点灯します ・胸部下のLEDは、動作中のモード(Ready/人をLockOn中/指示を了解など)を表示します ・背中にDisplayを埋め込んでいて本体のステータスの詳細を表示しています RaspberryPiPicoにより、周辺のセンサー、サーボモータなどの動作を管理しています
25・20・42
石塑粘土、電子パーツ、金属系パーツ

No.50 今村仰夫 いまむらたかお
『Nihil ex machina』
【技法】 この人形は、外装、関節、骨組みに至るまで、全て「紙」で出来ています。黒色と銀色の画用紙を折り、接着剤で固定しながら制作しました。制作前に、形においての設計図や具体的な案は無く、今回のテーマに基づいて、ほぼ即興に近いやり方で、また私自身の感覚で組み立てました。 【コンセプト】 この人形は、「人類における未来危惧」の人間の写し鏡である。人間の肉体がテクノロジーによってコーティングされ、機械に支配されざるを負えなくなった現代の人間の本質的な姿を表している。 人間は人工の機械に囲まれ、さらには依存して生活している。したがって、機械はもはや、人間の意思によるほぼ全ての行動に介入しているため、人間の機能の一部になっている。 機械は、人間の本能に基づく欲求から作り出される。そのため、自然的な存在という欠けていないはずのパズルに、なぜかピッタリとはまり、急速に溶け込む。その有様は、元来、自然的存在として完成されていたはずの人間の機能が、人間自身の手により、機械に置き換わっている。すなわち、テクノロジーは、人間が元々持っていた有機的な性質を奪う代わりに、その奪われた部分を人工によって、非有機的な概念が補っている。 昨今、世代を追うごとに、人類のテクノロジーによる技術的革新は、急速的かつ驚異的に発展している。人工的な機械が人間機能の一部として、その立場を確立するならば、人間は、急進的に発展するテクノロジーの非有機的なしがらみを、本来自然的であった人間の機能と交換し続けながら生きることになる。その連鎖が続くと、人間の表象においての本質的な外見は、全て機械に置き換わるのではないだろか。 そこで、そのような虚無な状態に向かって進歩し続ける人間の姿を、「紙」で表現することに着目した。「紙」は、非常に脆く、軽い存在であるため、人間の存在自体の脆さ、泡沫な儚さを表現できると考えたため、全て「紙」で制作した。
幅25、奥行き20cm、高さ60cm
色画用紙 接着剤

No.51 小野 由美子 おの ゆみこ
『街角の大道芸人』
固定ポーズ。 ヨーロッパのひなびた街角に立つ、少しはにかむ様子の幼い大道芸人をイメージして作りました。誰もが知っている童話から、赤ずきんちゃんと狼の指人形を作って、この子に持たせることで、ストーリー性が生まれると思いました。人形の衣装の色にはこだわりを持ち、色あせた雰囲気のグリーンとイエローで、混沌とした世の中でもわずかな希望持ち、新たな旅立ちにつながることを表現しています。赤ずきんちゃんの赤いマントの色が、生きて行く力強いエネルギーを象徴しています。
幅28Cm x 奥行き15Cmx高さ26Cm
ワイヤー、麻糸、クレイ粘土、布、皮、

No.52 月村朝子 つきむらあさこ
『松風町』
【コンセプト】 自分が住んでいる北海道函館市の景色に馴染む人形を作りたくて制作しました。 朽ち果てたトタン屋根、人影のない砂浜、霧笛がひびきわたる洋館の通り。 大好きな街・函館の、うら寂しい日陰に置くことを念頭に作りました。 また、幼いころに親戚が作ってくれた手縫いのピエロ人形が忘れられず、記憶の中にいるピエロ人形を自分の作品として復活させたいという気持ちもありました。 これからも、数十年前の記憶の中からやってきたような、朽ちゆく雰囲気をまとった人形を作りたいです。 手縫いの布作品が好きです。手作りの痕跡やたどたどしい縫い目のあるモノに惹かれてきました。
【制作参考書籍】 「吉田式球体関節人形制作技法書」
【その他、影響を受けたもの】 しょうぶ学園 nui project 野口光のダーニングに関する書籍 Randers Tanker(デンマーク在住の手芸作家) hokorobi(日本国内の手芸作家)
10cm×5cm×33cm
粘土・木綿・ガラス・化学繊維・針金・磁石

No.53 新家智子 しんけさとこ
『奏』
心の奥底から泡のように湧き上がるもの―― それは、ただ純粋な「愛」。 この作品《Bubble 奏》は、そんな無性の愛を目に見えるかたちにしたいという想いから生まれました。 見返りを求めない、やわらかな愛のかたちを表しています。 誰かを想うときに自然に生まれる優しさや希望を、泡(バブル)に託して形にしました。 たくさんの泡は、心の奥からあふれ出る思いそのもの。 その一つひとつが、触れた人の心に静かに広がっていくように。 与えること、分かち合うことが、また新しい光を生む。 そんな穏やかな循環を信じながら、ひとつずつ作りました。 表情づ くりにも特に心を注ぎました。 無性の愛を宿す表情は、目や口のわずかな開き具合で大きく印象が変わります。 その微妙なニュアンスを探りながら、最も時間を費やした部分でもあります。 淡い色合いは、泡の儚さと温もりを同時に感じさせるよう意識しました。 《奏》には、「無性の愛を惜しみなく与える」という祈りのような気持ちを込めています。 この作品を通して、見る人の心にも小さな優しさの泡が生まれることを願っています。
h64cm
石粉粘土、アルミホイル、スタイロフォーム、アクリル絵具、油絵具、真鍮、木

No.54 くるはらきみ
『ワームウッドの部屋』
ワームウッドの部屋は清洌な空気に満ちていて、小さな窓からは穏やかな光が差し込みます。 ワームウッド(和名ニガヨモギ)ヨーロッパ原産のキク科ヨモギ属の多年草。日本には江戸時代末に渡来した。薬草としては抗菌作用や防虫効果があるらしい。冬の間地中で過ごし、春から日本のヨモギによく似たより白銀の葉っぱを繁らせます。花は少しミモザに似たカサカサした小さな黄色い花を無数に咲かせ、葉っぱと一緒にドライフラワーにできます。 この草の防虫効果に関する17世紀英国のハーバリスト、ニコラス・カルペパーの記述 「コモンワームウッドを少量のインクに混ぜれば、そのペンで書き記した紙にネズミは近づかない。コモンワームウッドを布に挟めば、ライオンがネズミを、あるいはワシがハエをもてあそぶのをやめるように、蛾も布に意味もなく穴をあけるのをやめるだろう。」(『カルペパーハーブ事典』ニコラス・カルペパー著、戸板藤子訳) 2022年に霧とリボンで開催された個展「ヒルデガルト点描」のために制作しました。 ドイツ薬草学の祖とされる12世紀の修道女ヒルデガルト・フォン・ビンゲンは、薬用植物としてのワームウッドを「あらゆる消耗に対する最も重要なマイスター」(『ヒルデガルトのハーブ療法』ハイデローレ・クルーゲ著、畑澤裕子訳)と評価しています。 本作ワームウッドは、聖女が用いたハーブを人形化したものの一つです。 日本で親しみ深いヨモギに似ていながらも西洋の面持ちを持つワームウッドと、その肖像画のある部屋の様子です。 技法: 手びねりにて粘土の厚さが5㎜程の中が空洞の人形を成形する。 焼く前にモヘアや絹糸等の髪の毛を頭に植える。 オーブンで焼成。 (その際、髪の毛が焦げるのを防ぐため、植えた部分はアルミホイルで覆う) ジェッソ等の下地で表面を整えた後、油絵の具で塗装。 絵の具の磨き塗りを10回以上繰り返し肌を滑らかにする。 人形の素材としてオーブン陶土※を20年以上前から使用しています。 理由としては、油彩の磨き塗りに耐える強度があり、180度以下の低温焼成のため、髪の毛を植えて焼けるから。 また、人形はイメージの表現の大切さと同時に使われている素材の物質性が作家の特徴の重要な要素と思い、創作人形でなるべく使われていない素材を採用しました。 ※低温度(180度以下)の焼成で実用強度が得られる特殊陶土。 加熱することにより繋ぎ材(ポリエチレン・コーンスターチ)が土の間に浸透し、強度を出す。
43・15.5・53
オーブン陶土、モヘア、木、布、革





