

【人形研展ごあいさつ】
現代人形文化研究会は第1回人形研展を開催します。
東京都美術館開館以来、初めて人形を専門とする公募展です。本展は会員展ではなく、人形を作る方なら誰でも応募できる公募展です。107点の素材や技法も、布や粘土、陶などからプラスチック、3Dプリンターまで多岐にわたります。
1936(昭和11年)には東京都美術館の前身である東京府美術館で開催されていた帝展では、人形作品が初めて入選を果たします。以来、発表や評価の場を求める人形作品は、同館で開催されるいくつかの公募展に受け入れてもらうことで発表されてきましたが、それぞれの公募展で少数派の人形は、比する作品が少ないなかで鑑賞・評価されてきました。
人形はその芸術性を語るときの位置づけが難しく、帝展での初入選を目指した人形芸術運動が興った頃から人形作者たちの間でその議論は盛んに行われていたようです。そしてその答えはまだ出ているとはいえないでしょうし、正解は不要かとも思います。
人形は歴史の河を悠々と流れ、時代によって変貌しながら時代の人々の暮らしのなかで生まれ続けています。その一点の時間において立ち会った人間が何を言おうとも、大きな流れは変わりません。ひとつ言えることは、人形は、限りなく自由な媒体であることです。素材も技法も何をやっても自由ですが、ただし最後には人や生き物の形に帰結するという約束があります。
私たち現代人形文化研究会は、現代に人形を選んで制作する作者たちから生まれてくる人形について(そして過去の「現代」の人形についても)観察や記録をし、それを未来につなげていこうと思っています。それは、その時代の「自由」を探る手がかりだと思っています。
来場される皆様は、現代の「自由」に立ち会ってみてください。
特定非営利活動法人現代人形文化研究会理事長 羽関チエコ
【審査員】
審査委員長 四谷シモン 特別審査員 日比野克彦
長尾千斗、山本由也、ピコピコ、杉田明十志 、よねやまりゅう、ミヤタケイコ、水澄美恵子、矢部藤子
審査員長 四谷シモン 人形作家

1944年東京生まれ。
小学生の頃から人形に関心をもち、17才のとき水上雄次に師事した。布人形の表現に違和感を覚えていたが1965年にハンス・ベルメールの人形を知り、それまで作っていた布人形の道具を一切廃棄した。
1967年から唐十郎の状況劇場に役者として参加。この頃、ディスプレイ用の人形を受注したことからマネキンの技法を修得、1970年には大阪万博の「せんい館」のために「ルネ・マグリットの男」を制作した。
1973年に青木画廊で初個展(「未来と過去のイヴ」)。1978年にエコール・ド・シモンを開校、2020年まで後進の指導にあたった。
コシノジュンコや金子國義と交流した四谷婦人会、唐十郎率いる状況劇場、澁澤龍彦をはじめとする文学者との交流を背景に当時のアングラ文化を、また日本の人形文化における球体関節人形を語るときに欠かせない存在となっている。
【応募者へのメッセージ】
作品には。エネルギー。勢い。情熱。静謐。
作り手の手先からこれらが流れ込んで作者の面影が漂う人形が生まれる。
人形は不思議だ。不気味さと可愛らしさが同居している。
作者の無意識が一番出やすいものなのかもしれない。
特別審査員 日比野克彦 美術家 東京藝術大学学長
1958年岐阜市生まれ。1984年東京藝術大学大学院修了。1982年日本グラフィック展大賞受賞。平成27 年度芸術選奨文部科学大臣賞(芸術振興部門)。地域性を生かしたアート活動を展開。「明後日新聞社 文化事業部/明後日朝顔」
(2003~現在)「アジア代表」
(2006年~現在)「瀬戸内海底探査船美術館」
(2010年~現在)「種は船航海プロジェクト」
(2012年~現在)等。2014年より異なる背景を持った人たちの交流をはかるアートプログラム「TURN」を監修。現在、東京藝術大学学長、岐阜県美術館長、日本サッカー協会社会貢献委員会委員長、東京都芸術文化評議会 専門委員、公益財団法人 日本交通文化協会理事を務める。 (日比野克彦 公式ウェブサイトより引用)
横浜美術大学非常勤講師 長尾千斗

多摩美術大学映像演劇学科卒。その後文化庁と東京大学のアートマネジメントプロジェクトAMSEAの受講生としてアートマネジメントを学び、2015年より横浜人形の家にて展示企画として在籍。 創作人形やぬいぐるみなど広く人形文化に関する展覧会を多数企画する。
企画した展覧会
2021「アンティークドール×現代創作人形」2022「中原淳一と人形」展、2023「ALICE×DOLL」、2024「人はなぜ"ひとがた"をつくるのか」展、2025「魔法少女の軌跡」展など。
【応募者へのメッセージ】
同時代の人がどのような人形をつくるのかとても興味があります。そしてそれを皆で見て分かち合うこと、楽しむことは何万年も前の人々の在り方と大きくは変わらないのではないかと思うことがあります。その人にしかできない表現に出会えることを楽しみにしています。
人形作家 矢部藤子

1980 人形制作を開始する。
1998 中島博子創作人形教室にて人形基礎を学ぶ
横浜人形の家手作り人形展優秀賞
1999 横浜人形の家手作り人形展審査員特別賞
第1回個展 以降個展・企画展多数
2002 ドールアート展 in うつくしま大賞
人形道展朝日新聞北海道支社賞
2008 アーツJクラフツ展クリソスクリエイター賞
2009 茨城県石岡市にアトリエ開設
2012 ドールアート展in うつくしま招待作家
国際モスクワ展ART OF THE DOLLS 出品
URAL DOLL ARTISTS ASSOCIATION FESTIVAL出品
2016 人形作家 矢部藤子展(常陽史料館 茨城)
2017 Max -Oscar-Arnold賞 最優秀賞受賞(ドイツ)
【応募者へのメッセージ】
あなたの手の中から生まれた大切なものを心を込めて丁寧に見せていただきます。とても楽しみです。
【賞】
① 現代人形文化研究会大賞 ( 1 名 )
② 審査委員長賞 ( 1 名 )
③ 特別審査委員賞 ( 1 名 )
④ 各審査員賞 ( 8 名 )
⑤ under 22 賞 ( 3 名 ) 22 才以下の応募者が対象
⑥ CoNiCS 賞 ( 10 名 ) 会場内のアンケートによる投票
【副賞】
①と②作品と本人紹介の動画を現代人形文化研究会で制作し Youtube チャンネルで公開します。
①~ ⑤賞状、審査講評を現代人形研通信に掲載&年会誌に作品掲載「現代人形研通信」一年間無料送付
⑥賞状、年会誌に作品掲載











